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ゲルソン療法という選択肢

ゲルソン療法という選択肢
~標準治療と合わせることで、身体的・心理的な負担を和らげる食事療法~

ゲルソン療法は「がん」は体の中に有毒な物質が溜まって作られる
という考えに基づいた食事療法です。

ゲルソン療法だけで治療効果があるかは、はっきりとした研究成果は発表されていません。
ですので、がんの治療方法として正式に認められた医療行為ではないのです。


■標準治療と合わせると、治療効果が上がるという研究結果も!

しかし過去にオーストリアで、標準治療の下、ゲルソン療法に類似した食事を取り入れ、
効果が検証されたことがあります。

その結果、標準治療とゲルソン療法に基づく食事を合わせると、

・患者さんの生存期間が通常より長くなった
・副作用が軽減した
・身体的にも心理的にも、患者の負担が軽減した

という報告が挙げられました。

つまり、あくまで「代替療法」の位置づけですが、標準治療と合わせると治療効果が上がると考えられるのです。そんな「ゲルソン療法」とは、どのような治療法なのでしょうか。

■ゲルソン療法とは?

ゲルソン療法の目的は、異常な細胞の働き(がん)を正常な状態に戻すことで、
健康な状態へと回復させることです。

原理をくわしく見ていきましょう。

◎毒素を除去して、自己治癒力を上げる

ゲルソン療法において、「がん」の原因は体にとって有毒な物質、すなわち”毒素”です。
”毒素”を体内から除去することで、免疫系の働きを高めます。
すると、体の細胞内の過剰な塩分がカリウムに置き換わり、病気が治癒する

――つまりゲルソン療法とは、自己治癒力を上げて、がんに打ち勝つ食事療法です。

■ゲルソン療法の3つの柱

ゲルソン療法には、「食事」「栄養補助食品」「解毒」の3柱があります。
とくに重要なのは、有機食材を使った「食事」です。
食事を中心として免疫系を強化し、毒素を含んだ体を浄化していきます。

では、それぞれの内容について見ていきましょう。

1)食事
十分なビタミン、ミネラル、酵素、および他の栄養素を摂取するため、
・有機野菜
・有機果物
・全粒穀物
中心の食事です。
果物と野菜は塩分(ナトリウム)をあまり含まず、カリウムを多く含むものを選びます。

2)栄養補助食品
細胞の代謝のバランスをとるために、食事に追加して摂取します。

3)解毒
浣腸などで、体から有毒な物質を除去します。
具体的には、どのような食事を取り入れるのでしょうか。

■具体的な食事内容

ゲルソン療法の3つの柱のうち、食事では具体的に何を取り入れるのか、見ていきましょう。

◯有機野菜・果物のジュース
食事では、1日に13杯のジュースを飲むのが特徴です。1時間に1回は飲むことになりますね。
このとき、ジュースは有機野菜や果物から作ったものでなければなりません。

◯有機人参は、ゲルソン療法の条件を満たす優秀な野菜
ここでおすすめの野菜は、人参です。
ご存知の通り人参は野菜の中でも、体にいい栄養素がたっぷり含まれている優秀な野菜。
ゲルソン療法にもオススメなんです。食物繊維のほか、人参に多く含まれているのは
次の2つの栄養素。

1つ目は、βカロテンです。
免疫力を向上し、抗酸化力でがん細胞の増加を防ぎます。

2つ目はカリウム。
ゲルソン療法に求められるのは低ナトリウム、高カリウムの野菜なので、人参は条件を見事に満たしていますね。

味も癖がなく飲みやすいので、比較的続けやすい野菜といえます。

◯食事は菜食
また、食事は菜食中心です。
毒素を出すことを目的に、有機栽培で育てられた果物、野菜、全粒穀類を取り入れます。

■健康維持のために、標準治療と並行して取り入れる選択肢

ゲルソン療法の食事には多くの縛りがあり、また正式な治療方法ではありません。

あくまで、医師と相談した上で取り入れるべき食事療法です。
興味を持たれた方は「標準治療と並行して、健康維持のため取り入れる食事療法」
の選択肢のひとつとして、ぜひ担当医に相談なさってください。